ああ、おいしいなぁ

愛犬ティーモと愛猫バジルと車と建築と

福嶋さん

昔からの知り合いの福嶋さんのお宅へ遊びに行きました。

福嶋さんのお宅は伊賀上野から少し名張へ向かったあたりで、うちから車で163号線を真っ直ぐ行くと2時間程度です。

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木津川の中流あたり。
天気も良くて気持ちの良いドライブでした。

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もうすぐです。

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福嶋正俊さん(自宅にて)

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福嶋さんのお宅の前にて

福嶋さんは、僕が生まれる前から僕の家にずっと一緒に暮らしてきた家族のような方で、僕にとっては特別な人です。
父のジャズバンドのベーシストとして、父と一緒に全国を旅してきた人なので、僕の知らない父もいっぱい知っている人です。
子供の頃、週の半分はうちの家で一緒に暮らしていました。
運転免許を持っていなかった父に代わって、家の車を運転してくださったのも福嶋さんです。
父は、自宅の庭を薔薇園にするのが長年の夢だったのですが、庭の手入れ、薔薇の世話など福嶋さんの力が無ければ実現しなかったでしょう。
というか、ほとんど福嶋さんの作品みたいなものです。

子供の頃、キャッチボールは、ピアニストの父に代わって福嶋さんとしたものです。
自転車を教えてくれたのも、福嶋さんでした。

僕は、子供の頃昆虫が大好きで、夏になると近くの林に行ってクワガタを取ったりしていましたが、福嶋さんに本格的な標本の作り方を教わり、しだいに蝶にも興味が移りました。
蝶の捕まえる時の網の振り方、蝶を絶息させる方法(今考えると残酷ですが・・・)、展翅台の使い方など、全部教えていただきました。
大学生になり、免許を取るときも、仮免許を取った後の練習に付き合ってくださったりもしました。
クラッチのうまい繋ぎ方や、シフトの時の手首の返し方、狭い道でのステアリングの切り方なんかも福嶋さん直伝です。

父のバンドが解散後、父が再びクラシック演奏へと戻る頃に福嶋さんはピアノの調律の勉強を始められ、ピアノのロールスロイスと云われるスタインウエイの調律士の資格を取得されて、ピアノ調律とピアノの修理の仕事を始められました。
父のピアノは常に福嶋さんが面倒を見てくださいました。

その頃には、家に来られるのが週に1日程度でしたが、わがままな父の無理に嫌な顔ひとつせずにいつもニコニコして付き合ってくださっていました。
それは、父が亡くなる日まで続きます。

ピアノの修理と調律の仕事の傍ら、地元の伊賀青山町では音楽ホールの建設に大きく貢献されて、実質的に指導的立場におられました。
他の町などと合併して伊賀市となった後も、地元楽団の指導や伊賀出身の音楽家達の演奏会の企画や演出、中央の音楽家達の出演交渉など、まさに伊賀の音楽文化の育て親のような存在です。

父のバンドと一緒に全国を回った仲間でもあるデュークエイセスのメンバーとは今も交流があり、福嶋さんの長年の夢であった地元青山ホールでの地元楽団をバックにしてのデュークエイセスのコンサートが数年前に実現した時は本当に喜んでおられました。
ホール建設、デュークエイセスの出演交渉や、地元楽団への指導など、ひとつのドラマになる話です。

その福嶋さんのお嬢さんが結婚されて、自宅の庭に家を建てたので一度見て欲しいと言われてから2年ほど経ちました。
今日、ようやく実現しました。

積水ハウスのしっかりとしたつくりの家で、じっくりと見せていただいてよかったです。
自分達のような個人設計事務所だと、もっと個性は発揮できるかもしれませんが、この安定した品質と低コストは大手ハウスメーカーの強みです。
まあ、できれば設計したかったですが、とても良い家だったので納得です。

福嶋さんは今、地元のオーケストラでベートヴェンの英雄交響曲を演奏するために練習中だそうです。
ますます精力的に音楽を楽しんでおられる姿に、夢を実現して、さらに夢を見続けている男のなんと素敵な人生だろうと思います。

夕方から近くのフレンチレストランへお誘いいただきました。

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レストラン敏の味

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のどかな田園風景の中にぽつんと建っています。

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前菜

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ポタージュ

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魚料理

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牛フィレ肉のソテー

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デザート

伊賀は、以前結婚したばかりの頃に夫婦で遊びに来た時にご馳走していただいた伊賀牛が忘れられません。
今日のフレンチも、当然伊賀牛。
おいしかったー。
ご馳走様でした。

でも、実は伊賀牛はさっと炙って塩だけでいただくというのが最高なんだということを17年前に来た時に教えてもらったことがいまだに間違いないと思います。
あの味を超えるものは、なかなかありませんなあ。

福嶋さんは、おふくろさんと言うのがぴったりの奥様と元気で屈託の無いお孫さん達、やさしいお嬢さんと逞しいお婿さんに囲まれて、本当に幸せそうでした。

これからもずっと元気で、末永くお付き合いよろしくお願いします。