森のピアノ(続き)
昨日の続きです。
いよいよホールに入りました。
写真で知ってはいましたが、奥と左側の壁の一部がガラス張りで、外の森が見えます。
大阪ならばフェニックスホール、東京なら豊洲シビックセンター、海外でもまだ実現していませんが、ザハ・ハディッド・アーキテクツがロシアのコンペで勝ったホールなどで、ガラス張りのホールというのはありますが、30年ほど前の頃に建ったこの建物のホールは、相当早い時期に実現していたと言えそうです。
ホールの内装は木板をふんだんに使っていて、天井は波打つような曲面です。
側面と背面の壁は木板の目透し張りになっていて、おそらくは裏の吸音材が音質を調整しています。
ガラス面があると言うことは、響きにあまり良くないのですが、ここではそういうマイナス面はあまり感じませんでした。
ガラスのようなフラットな面がある空間はフラッターエコー、いわゆる鳴き竜が起こり、不快な音の反射が起こりやすいのですが、ガラスの反対側の面でしっかり吸音して対策しています。
音の鏡写し状態がフラッターエコーを生みますから反対側で反射させなければ良いということですが、そう単純でもありません。
当然、音を吸いすぎてはデッドな、つまり残響のない音となり、豊な響きは生まれませんから、天井やステージの反響板などの面をうまく使って響きで包まれるような設計となっているのでしょう。
ホールの音響設計は、ここ数年、永田音響設計に代表されるように研究が進んでいますが、ここは、京都大学の古江教授(当時助教授)の指導だと、当時の新建築誌に書かれています。
シンプルな内装でありながら、優れた音響を生んだのは、ちょうどよい広さ共に、優れた指導もあったのでしょうね。
平面図を見ると、ホールはオーソドックスなシューボックススタイルですが、楽屋や舞台袖を含むホール全体の形状がステージの奥に向かってパースペクティブを描くように狭まっていく形状をしています。
ちょうどその三角形の頂点に角度を45度振ったコンクリートの柱が見え、それ以外は壁が無いので、ステージに居ると本当に森の中で弾いているような気分になれます。
少し言い過ぎました。いやでも本当に感じ方次第では充分に森のピアノ気分は味わえると思います。
ステージ奥へのパースペクティブな形状は、観客席からの見え方を考慮して、最大限に森の風景とステージを一体化させる工夫だと思います。
無茶苦茶気持ちいいホールですよ。
弾いてるおっさんを脳内で海君に変換して御覧ください。(意味不明でごめんなさい)
なかなかの原生林でしょう。
自分のことをおっさんと言うのは悲しいですが、仕方ありません。おっさんだし。
ちなみに、こうして演奏しているシーンを撮影しているという事は誰かが写真を撮ってくれているわけです。
言うまでもなく妻がビデオ回して、写真も撮って、拍手までしてくれました。感謝。
傍から見ている人が居たら、林〇ペーかパーなのかと突っ込みたくなるような状態だったでしょうか。
とりあえず、この日はモーツァルトのきらきら星変奏曲、ショパンの子犬のワルツ、7番のワルツ、遺作のノクターン(例の戦場のピアニストのあれです)を弾きました。
クマバチ君とも会ったので熊蜂の飛行もアンコール(何の?)に弾いてみようかとも思いましたが、最近全然弾いてなかったから、自主規制しました。
全体的にボロボロでしたが、まあ久しぶりの生のグランドピアノなので良しとしましょう。
僕、自分に甘いので。
帰り際、駐車場付近でクロアゲハさんに見送っていただいたつもりで帰路に。
黒いアゲハ蝶って見分けが難しいんですよ。
ジャコウアゲハかと思ったのですが、クロアゲハでした。
ちなみに今日は会えませんでしたが、ミヤマカラスアゲハは世界一美しいと個人的に思います。
脱線して終わり。