ああ、おいしいなぁ

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見学会in神戸

さて、久々のブログ投稿。

本日は、いつもお世話になっているエーアンドユー建築設計事務所の皆さんと一緒に神戸の竹中大工道具館へ見学会に行ってきました。

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大工道具館へは3年振りの2回目です。

竹中工務店が開設した日本唯一の大工道具の博物館で、宮大工を発祥とする竹中工務店ならではの施設と言えます。

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入口

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アプローチ

場所は新神戸駅のすぐ横にあるのですが、門をくぐれば別世界の静けさです。

和風のデザインと鉄やコンクリートのミニマルなディテールが見事に融合した名建築だと思います。

我々専門家は、ついついディテールばかり追いかけてしまいがちですが、2回目の今回は全体の雰囲気も楽しむ余裕がありました。

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といいつつ階段のディテールに注目

入口すぐにイベントスペースがあり、奥へと進むと地下へ降りていく階段があります。

ここの常設展示スペースは地下にあるのです。

建物の大部分を地下に埋める事で、地上のボリュームを抑えて屋根を低くすることができるわけですが、そうすることで森に囲まれた平屋の上品な外観とすることができ、この建物をより美しく見せるわけです。

階段に面した中庭はドライエリア(地下の外部空間)となっていて、光を地下のスペースに届けるようになっています。

だから、地下と言っても地下とは感じません。十分な外光が入ってきます。

この階段は、その中庭を挟んで横からの姿がよく見えるので、デザインも非常に凝っています。

分厚い鉄板を階段の形に曲げ、その鉄板を包むようにこれまた分厚い無垢の木の板が載っています。

鉄板は厚いと言っても横から見ると見える部分がほとんど無いので、まるで分厚い木の板がリズミカルに宙に浮いているように見える工夫がされています。

その段板の両端は少し立ち上がっています。

あまり分厚すぎる木の無垢材は反りますし割れますが、横から見た時の段板をさらに分厚く見せたいための工夫ではないかと思います。手すりの支柱の生え際も隠れますし。

構造的に必要な吊り材を中庭に面したサッシの方立(窓の支柱)位置に合わせて中庭の反対側から見ると隠れるようにしたり、あらゆるところにきめ細かいデザインがなされています。

ところで、今回は、敷地内の茶室の見学もできるようになっていました。

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六甲山をバックに手前右は先ほどの階段のある部分のミニマルなスチールの屋根。

左側にある当地に昔からある蛇を祭った小さなお社。

その奥に茶室が見えます。配置の妙。

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見学は10人くらいを一組に、ガイドの方と一緒に廻ります。

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沓脱石

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濡れ縁の天井

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軒先の簾

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八畳の広間の茶室

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手水と腰掛け

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裏側の門から続く延段と沓脱石

さて、ここから露地へ入ります。

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露地へ入ると黄色い可愛い花が出迎えてくれました。つわぶきでしょうか。

飛び石の間にある短い延段の目地を埋める苔が美しいです。

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知離孔(ちりあな)

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向かって右側に七畳の茶室があります。

ここは、表千家の啐啄斎好みの写しだそうです。

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簾を組んだような露地と庭との目隠しの塀

そして左へ向かうと一滴庵への待合があるわけです。

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腰掛け待合い

美しい形の箒が掛かっていました。

軒樋は右側に長めに伸びて竪樋で落としています。

形が面白い。

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中門

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手水の手前に関守石が置かれていました。

今日はお茶会ではありませんから、手水を使えないということです。

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一滴庵の扁額

f:id:rikyudo:20181112022723j:plain一滴庵の正面

躙り口や突上げ窓(天窓)など、これぞ数寄屋の茶室

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一滴庵の中を躙り口から手を伸ばして数撃ちゃ当たる方式で撮影するも、まともなのはこの1枚・・・

それでも、茶道口や給口、点前座と客座の間の板張り、天井の張り方、床柱や落とし掛け、床框などが写っていたのでラッキー。

もう少しゆっくり見れるとよかったのですが、後ろのグループが迫っていて焦ってしまいました(笑)

この一滴庵は三畳の小間で、大徳寺玉林院「蓑庵(さあん)」の写しだそうです。

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帰りの露地の途中で見かけた柵

いいデザインですよね。

これで、茶室見学は終わりなのですが、本館へ向かう途中で茶室の裏庭に面して休憩所があり、ここでコーヒーやケーキがいただけます。セルフサービスです。おいしいです。

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枯山水の庭

長く伸びた石の先端から雫が落ちて波紋が広がっている様子に見えます。

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休憩スペースの前の木製デッキ

ここは、去年できたスペースだそうです。

ここから木製デッキのスロープを降りると本館の玄関前に出るので、再度入場できます。(チケットは一応持っておいた方が良いです)

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スロープの手摺

スチールアングル製の手摺支柱と足元を繋ぐテンションワイヤーとスチールの丸パイプで構成されたシンプルな手摺です。

コーナーに手摺支柱を持ってくると野暮ったくなるのですが、テンションワイヤーは回さなくてなりませんから、足元だけのワイヤー用の支柱があります。

このあたりの工夫が見事です。

 

この後、もう一度展示スペースに戻って少し見て回りましたが、一緒のメンバーから布引の滝へ行かないかという提案があったので、夫婦でそちらに参加。

実は、布引の滝はこの大工道具館のすぐ横にある新神戸駅から少し山を登ったところにある身近な絶景スポットなのです。

大小の滝がいくつか見れ、簡易なハイキング気分が味わえます。

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新神戸駅の下の道路をくぐり、坂を少し上ると10分程で滝が現れました。

最初の滝は雌滝(めんたき)高さ19m 可愛い滝です。

夫婦滝や鼓滝などもありましたが、割愛。

最後のクライマックス雄滝(おだき)です。

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雄滝 43m

これは、なかなかの迫力のある滝で、この日は前日の雨のおかげで水量も多くて見ごたえがありました。

空が青くて滝とのコントラストが綺麗でした。

ここまででも20分くらいでしょうか。

少しきつめの階段もありますが、革靴でも行けました。

この後、新神戸オリエンタルホテルでみんなで遅めの昼食を取り解散。

 

エーアンドユー建築設計事務所の皆様、お誘いいただきましてありがとうございました。